岡村靖幸でレーザービームガール

岡村靖幸が作るラブソングと言えば、「カルアミルク」「イケナイコトカイ」「友人のふり」あたりが代表作として挙げられる。他にも「妻になってよ」や「ファミリーチャイム」など多数ある。

これらのラブソングはとても秀逸なのだが、どこかリアリティに欠けているなぁと個人的には感じる。

なんというか、実際に岡村靖幸が恋愛をして経験した喜びや悲しみが曲中からイマイチ伝わってこないというか、どこかフィクションくさいというか。

唯一リアリティがあって岡村ちゃんらしいなーと感じるのは「カルアミルク」だ。

お酒の飲めない岡村ちゃんが

というのは、まんま岡村靖幸だし

というのもバブルの頃のロン毛の岡村ちゃんの姿がリアルに思い浮かぶ。

しかし、他のラブソングは、少なくとも「カルアミルク」と比較すると岡村靖幸をあまり感じられない。

である必要はもちろんないが、ベイベとしては岡村靖幸のリアルなラブソングを聴きたいと思うのが本音だ。

「操」に収録されている「レーザービームガール」は「カルアミルク」に匹敵するほど、

となっている。

「レーザービームガール」の歌詞はストレート

冒頭のイントロだけ聴くとこれからヘビーなファンクでもはじまりそうな印象を受けるが、この曲はファンクではない。

岡村靖幸にしては珍しく完全にチル系な曲調。

歌いだしの歌詞は

新しい気持ちが高まるのを感じてるのさ

ただうれしくて楽しくて

どうすれば落ち着くのでしょうか

歌いだしのこの歌詞がまず良い。

年齢を重ねるにつれ、感受性はどんどん鈍くなり、心が鈍感になる。
大人が久しぶりに好きな人が出来て恋愛がはじまったときの、久々に抱く喜びのようなものが凝縮された歌詞だ。

と、丁寧語を使用している辺りが非常に現在のジェントルマンな岡村ちゃんを想起させる。

余談だが、僕はこれまでずっと岡村靖幸のことを〝岡村ちゃん〟と呼んできた。しかし最近とても違和感があるのだ。

岡村ちゃんではなく岡村さんなのではないか？と。

過去にいろいろあった岡村靖幸だがここ10年は十分すぎるほど休みなくしっかりと音楽活動しているし、むしろ「岡村ちゃん」って呼び方は失礼にあたる気がしないでもないぞ、と。まさに、「ちゃん付け」から「さん付け」呼びへの距離が測れない…。

閑話休題。

2番の冒頭の歌詞は

流れ星に誓えば二人でリング買いに行けるかな？

小舟のような二人の心

漕ぎ出せば辿り着くのでしょうか？

すぐに結婚というゴールに突っ走ろうとするのは岡村靖幸の悪い癖である。「マシュマロハネムーン」でも

本音を言うと結婚したいんだ すぐ

と歌い、結局結婚できなかったではないか。

しかし、だ。

流れ星に誓って二人でリング買いに行けるかな？

って純にも程がある。

岡村靖幸はインタビューなどで好きな女性のタイプは健気な人とよく言っているが、岡村ちゃんが誰よりも健気だよ。

「レーザービームガール」は現在の岡村靖幸の素直なラブソング

好きな人が出来て、その好きな人を想ってラブレターを綴るかのように曲を作る。

ある意味、シンガーソングライターとしての原点回帰のようなシンプルで心に響く名曲

それが「レーザービームガール」だ。